2018年1月27日土曜日

黒田硫黄 「特品ビーム課長」

なんだかタイトルは、言葉の組み合わせがわけわからんけど、何はともあれ、久々の黒田硫黄。

・黒田硫黄 (2018.2) 特品(とくひん)ビーム課長. モーニング, 2018年2月8日号, pp.317-359.


同誌, p.318

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黒田硫黄は『アップルシードα』以来か。これは、自分にはあんまりおもしろくなかったなあ。元ネタを知らないと、面白さはイマイチわからないのかもしれない。

驚いたことに、今回「モーニング」初登場なのだそうな。

え?と思うが、そうか、この人はデビュー以来ずっと「アフタヌーン」の人なのだな。

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舞台は、何かのモジュールを受注している電子機器メーカー。その担当が特品B課課長・下島さん。

この人なぜか甘味を異様にモリモリ食べる。その理由はというと、タイトルに秘密がある。

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明日が納期の、そのモジュールがうまく作動しない。そして下島さんは、部下の「おにぎりちゃん」と下請けの町工場へ。

この町工場のオヤジ達のウサン臭さは、黒田硫黄らしいところ。あと、そこの暗闇。全編を筆で描き塗っている、黒田らしい漆黒の闇だ。

未明までハンダづけと格闘し、なんとか納期に間に合う。

ここまでは、なんか企業ものマンガみたいだ。ところどころ変なところはあるが。

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翌朝、また「おにぎりちゃん」と二人で発注元へ。そしてモジュールを納品。

モジュールを取り付けた、本体というのがこれだ。


同誌, p.344

なんだ、これは(笑)。

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「なげーな」と思いつつも、立ち読みですまそうと、ここまで読んできた。ところが、ここで突然黒田らしい「どうかしてる話」になってきたため、びっくりして急遽買ってきたのだった。

黒田硫黄を最初に読んだのは、デビュー作の『大日本天狗党絵詞』。その時の感想も「こいつの作る話はどうかしてる。頭に虫が湧いてるんじゃねーか?」だった。

それは今もそう思っているのだが、いつしかそれが魅力に転じた。こんな変な話を作れる人は他にいないし。

トーンなどを使わず、何でも筆で強引に描いてしまう、荒っぽい絵は最初から好みだった。それで、結局はこれまで出た単行本は全部持ってる。

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で、この「どうかしてる話」を収束させるのに、また「唐突でどうかしてる話」が使われる(これは伏線が貼られてはいたが)。相変わらず変なストーリー展開。

この人は、あまり説明的な展開にしないので、いつもこんな感じの唐突感にあふれている。そこがいいんだけど。でもやっぱり、変な話だよなあ。

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いやあ、でも相変わらずで安心したよ。絵も変わってない。体調もだいぶ戻っているんだろう。この調子で行ってほしい。

会社ものに、そこはかとなく「百合もの」の雰囲気も漂わせつつ、という、ちょっと挑戦要素も含む珍しい作品。

これは立ち読みで済ますには惜しい。是非買って読んで下さい。

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(追記)@2018/01/27

なお、作者本人のblog

・黒田硫黄/黒田硫黄の仕事 > 2018.01.18 Thu 新ジャンルへの挑戦
http://kurodaiou.blog57.fc2.com/blog-entry-152.html

によれば、

わたくし47年間も会社に入ったことがないまま、想像でサラリーマン漫画を描きました。

だって。あはは。いや、会議のシーンなんかはそれっぽかったですよ。

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