2017年10月30日月曜日

高野文子の娘たち (2) ヨコイエミ 『カフェでカフィを』

2017年3月26日日曜日 「フイチンさん」の娘たち (2) 近藤聡乃 ウラモトユウコ

で、高野文子の影響が色濃く見える二人、近藤聡乃、ウラモトユウコを紹介しましたが、これはもう「フイチンさんの娘たち」というより「高野文子の娘たち」といった方がいいでしょう。

というわけで「高野文子の娘たち (1)」はありませんが、いきなり(2)で進めましょう。

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娘3人目は、ヨコイエミ。

・ヨコイエミ (2017.9) 『カフェでカフィを』(集英社クリエティブコミックス). 191pp. 集英社, 東京/集英社クリエイティブ, 東京.
← 初出 : Office You, 2013年7月号~2015年9月号.


デザイン : 松本哲児(BRIDGE)

最近の新刊マンガはシュリンクがかかっていて、中身が見れません。大手の売れ筋作品では、薄い「立ち読み版」が書店に配布されることもありますが、こういったマイナー作品ではそれもない。

だから表紙で判断せざるを得ないケースが多いのだが、この本も情報なしでそうやって見つけた本。

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表紙はOK。カラーコーディネートもいいですね。

このマンガは、基本「コーヒー」をテーマにした短篇集なのだが、前後の話が何らかの形でつながっているという連作集でもある。最近このパターン多いですね。

1話2話あたりは、ちょっとオシャレ系の雰囲気もあり、大丈夫かな(つまり、オッサンでもついて行けるかな?)、と心配に。


同書, p.34

第3話目まではこういう細い線で描かれている。この辺でもかなり高野風なのだが、「るきさん」よりもっと後、「黄色い本」あたりに近いかな。

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4話「マリアージュ」は、完全に『棒がいっぽん』のころの高野マンガの影響を受けている。


同書, pp.40-41

右ページで会話、左ページでは角度をめまぐるしく変えた「どアップ」、というのは、なかなか迫力ある。これ、高野文子 『棒がいっぽん』収録の「奥村さんのお茄子」とか「バスで四時に」をかなり意識した実験作だ。

また内容も、高野作品「マヨネーズ」のシチュエーションをもうちょっとソフトにした感じ。

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この辺で、「この人、高野文子の娘の一人だ!」と気づいたわけです。この実験はその次の第5話「ミス・ベンダーの旅」にも続きます。


同書, pp.66-67

この話は、なんと缶コーヒーの缶と自動販売機の会話だ。この点でも実験作だ。

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もしかすると、この辺は編集さんあたりに「ちょっとやり過ぎですよ」と注意されたのかもしれない。

その次からは、絵にはあまり凝らずに、会話中心の人間模様にシフトしている。でもそっちもおもしろい。

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12話「カフェ・ド・バスルーム」は、若夫婦が一緒に風呂に入りながら、コーヒー飲んだりアイス食ったりと、いちゃいちゃする話だ。普通はそのまま始まっちゃうわけだが(笑)、その直前の楽しそうな雰囲気をよく描いている。まあ、実体験なんでしょうね(笑)。

しかし、最近は女性の陰毛などは、女性マンガ家も平気で描くようになったなあ。男性器はまだ隠す人多いけど。

アイスを食べるシーンの、目を見開いて大口開ける顔、「うはぁ 恐怖漫画の顔みて」、「んまい」。

これは!楳図かずおファンだな!特に「まことちゃん」の。

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「三爺マンガ同好会」「ぐるぐる」の、ジジイ三人組コントもおもしろいなあ。この作品集は、老人が大活躍するのも特徴です。

この辺は、高野作品「二の二の六」あたりの雰囲気。

p.85の「源さん」に大笑い。これ、1983年のドラマ「源さん」の宇津井健じゃないか(笑)。

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ヨコイエミさんは、1990年代にデビューし連載作も持っていたのだが、その一作で一度フェイドアウト。どうも結婚して一時仕事をセーブしていたような雰囲気。

そして名前を変えて再デビュー。前作は知らないのだが、こんな感じで、のんびり作品を発表していってほしい。

2ヶ月に1本10ページじゃ、なかなか単行本にならないだろうけど。この本も1冊分たまってから出るまで2年もかかってる。

いつかまた(2年後くらい?)取り上げます。

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