2016年8月6日土曜日

平方イコルスン3連発

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月6日土曜日 平方イコルスン3連発
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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タイトルだけ見ると、一体何の話か?と思うかもしれないが、マンガの話です。

「平方イコルスン」は作家名。近頃はペンネームも凝りすぎて、何がなんだかわからないのが多い。もともと「平方二寸」だったのが、友人が「平方=(イコール)寸」と誤読して以来このペンネームになったそうな。性別不明だが、たぶん男です。

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知ったのはごく最近。ドリヤス工場(これもよくわからないペンネーム)を追っかけて、リイド社(『ゴルゴ13』の単行本で有名)のマンガサイト

・トーチweb(since 2014/08)
http://to-ti.in/

に行ったらぶち当たった。

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登場人物は95%が女子高生。その会話というかセリフ中心でストーリーが展開されていく、というちょっと珍しいマンガ。

この人はもともと文章の人で、おまけでイラストやマンガを描いているうちに、pixvに投稿した「けいおん」パロが目に止まってデビュー、という経歴らしい。だからセリフ中心の展開も納得。

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そのセリフも生硬で理屈っぽい。姿は女子高生なんだが、中身はやっぱり男だな。それでもよくわからないセリフ回しは変でおもしろい。こういうマンガもあるんだ、とちょっと新鮮でした。

画材はペンタブでオール・デジタル作画らしいが、トーンも全く使わない絵柄なので、デジタル感は微塵もない。ハンコか版画みたいなソリッドなこういう絵柄は昔から好きです。

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・平方イコルスン (2012.8) 『成程』. 91pp. 白泉社, 東京.


デザイン:柴田昌房(30A)

商業誌デビュー作含む初単行本。

この人のマンガはセリフが多いし、コマ割りも細かい。基本三段組だが、それをさらに上下に二段に割ってあることが多い。だからこの単行本はB5版という珍しいサイズ。

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気になった作品は、

「性的寄り道」 pp.19-22.
← 初出:楽園, no.6[2011/6]

持ち主不明で教室に置きっぱなしになっているバイク・ヘルをめぐる話。意味わかんないでしょ。まあ読むがいいさ。

わずか4ページなのに、連続TVドラマ「オヨグダンシ」(なんでいまさら「ウォーターボーイズ」なのやら)なんていう小ネタまで挟んでくる。変だ。

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「恋の草鞋編み」 pp.39-42.
← 初出:楽園, no.7[2011/10]

先生に草鞋を編むと、見返りに関西弁を聞かせてもらえる、という現物を読まない限り、意味がよくわからないストーリー。

その手伝いをする友人(当人より草鞋編みがうまい)のアンビバレンツな心情が切ない。青春やねえ。

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「とっておきの脇差」 pp.43-48.
← 初出:描きおろし

これは6ページ。武器による女子同士の決闘が当たり前の世界。

友人の付き添いで決闘現場まで車で送ったが、敢えなく友人は敗れ去り(つまり死んだってことです)、二人はそのまま予約していた温泉に向かうのだった(一名分予約キャンセル)。

なんでこんな発想できるんだろ。

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・平方イコルスン (2015.5) 『駄目な石』. 121pp. 白泉社, 東京.


装丁:柴田昌房(30A)

引き続き「楽園」発表作をまとめたもの。サイズが小さくなったので、読みにくいことこの上ない。文庫化は絶対無理だな。

例によってタイトルからして意味不明。

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「みっとも」 p.33-36
← 初出:楽園web増刊[2013/3]

風紀にうるさい先生と、「ツインテールがうっとうしい」と注意された女子の息詰まる攻防。

この「エネルギーが無駄に空回りしている女子」、作者はよっぽど気に入ったらしく、巻末にどアップで再度登場。

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「相討ち」 pp.43-46.
← 初出:楽園web増刊[2013/7]

これは大傑作。

武器自作マニアの女子(もう設定からしてよくわからない)が、教室で槌(棍棒)を振り回しているうちに、後ろの席の男子の頭部を直撃。男子は入院。見舞いに行ったその女子は、武器への愛情を延々語るのであった。

そして男子も退院後は武器マニアとなり、二人で仲よく自作武器のテスト、というA Boy Meets A Girlストーリーなのだが、冷静になって読みなおしてみると変な話だよな~。

武器愛(ほら、変な言葉ができてる)を語る女子のイキイキとした表情が素晴らしいです。

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「咄嗟」 pp.73-76.
← 初出:楽園web増刊[2014/3]

芝居のセリフ合わせをしているらしい男女高校生。「雄叫び」では物足りなくて「どたけび」に変える。

女子部員が「どたけび」の手本を示すが、みんな口には出さないが「めたけび」にしかなってないな・・・、という、そんだけの話。なんのこっちゃ。

最後の女子部長(?)の「さけび!」「わめく!」(すぱぱっ)で唐突に終わるのもいい。

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「報復上手」 pp.95-98
← 初出:楽園web増刊[2014/8]

合唱で腕をガン振りしている女子(意味がわからない・・・)に、わざと殴られに行って見事成功した男子(これも意味がわからない・・・)。

それをフォローしている別の女子。そのうちに、この二人が喧嘩しつつ、イチャチャするのだった。ええ話やなあ(どこが?)。

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・平方イコルスン (2016.4) 『スペシャル vol.01』(torch comica). 175pp. リイド社, 東京.
← 初出:トーチweb., 2014/8~2015/10.


装幀:名和田耕平デザイン事務所

さあ、そしていよいよ連載作品。これまではすべて違う登場人物による4~6ページの読み切りばかりだったのですが、ついに続きものです。でも「スペシャル」ってなんだ?

田舎の高校に転校してきた葉野(さよちゃん)。隣の席は授業中も常にヘルメットをかぶっている伊賀さん。あんまり出てこないけど、下の名前は「こもろ」(場所は長野県なんだろうか・・・)。

これが異常な怪力少女。借りたシャーペンはあっという間に粉々になるし、下校中に標識を曲げてしまうし。

その原因は不明。解明しない。おそらく最終回になっても解明はしないと思う。これはそういうマンガではないのだ。

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他のクラスメイトも異常。

炊飯器から洗濯機まで、私物を教室に置く金持ち・大石(女子)。その奴隷と化している・谷(男子)。ガソリン・フェチ(意味不明)・藤村(女子)。年中豆を食ってる・会藤(男子)、そいつをつねることを生きがいとする築前(女子)。相変わらずよくわかんない設定。

この作品の女子は、あんまり理屈っぽくないので、みんな一応「女子・・・かな?」という気はするなあ。

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なんか「ここが素晴らしい!」というポイントがよくわからないまま、読み続けている、というマンガの紹介でした。

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(追記)@2017/07/20

2017年7月時点での最新刊『スペシャル 2』について書いていますので、こちらもどうぞ。

2017年7月20日木曜日 平方イコルスン 『スペシャル 2』

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